多くの企業が取り入れつつある長期インターンですが、有給で数ヶ月から1年を越えるものも増えてきています。しかし、いざ自社で取り入れようと思っても、『学生にどのような業務を任せるか』や『なぜ学生は長期インターンシップをしようと思うのか』などわからない点が多く、踏み切れていないご担当者様もいるのではないでしょうか。
今回は、実際に長期インターンを経験している学生にインタビューをしました。学生が考える長期インターンの良い点・悪い点から、学生のリアルな声を他社の事例とともにお届けしたいと思います。今後の業務にお役立てください。
目次
”優秀さの定義”が広がった、内定先での長期インターン

京都大学 4年 男性 Sさん
経済学部 経済経営学科
内定先(人材業界)にインターン中
期間:大学4年10月~3月(予定)
シフト:週5日 1日8時間 月初めにwebで申請
賃金:時給985円
業務内容:ライターの採用、記事確認・反映
大切なのは『漠然とした成長』ではなく『生産性の向上』
──長期インターンに応募したきっかけはなんですか?

──その目的は達成できていますか?

──成長はできていると実感しますか?

”顧客目線”から”開発者目線”へ
──長期インターンの良い点・悪い点は何ですか?

良い点は、優秀な社員や学生と長期的に関わることができることです。今まで優秀な人って、世の中で優秀とされる著名人ってイメージだったんですけど、今は自分がしているような業務を、高いクオリティで行っている人とかもすごいなと思うようになりましたね。またインターンに来る学生も元々意識が高い上に、業務をこなすことで更に成長しているので、かなり刺激になります。
悪い点は、今まで関わっていた人と話が合わなくなったことですかね。インターンで様々な人と関わることで、自分の視座が高まりましたが、それまで関わっていた人たちとは、正直居づらくなりましたね。もちろん自分の成長と考えれば良い点ですが、同窓会とかあまり行きたくないなとか思うのは、少し寂しいですね。
──長期インターンを通して、自身の中で大きく変わったことは何ですか?

インターン生だけのクリエイティブチームで実感した『現場の苦悩』

東海大学 3年 男性 Tさん
情報理工学部 コンピュータ応用工学科
就活中(志望業界は未定)
期間:大学3年9月~未定(契約では半年以上)
シフト:週3日 1日5~8時間 月初めにwebで申請
賃金:時給985円
業務内容:広告・デジタルサイネージ・ポップ等のデザイン
自己満足ではなく、他人に評価され、世の中で機能するデザインを
──なぜ短期インターンではなく長期インターンに応募しましたか?

──実際働いてみてどうでしたか?

クリエイティブ現場の”実態”を知る
──長期インターンの良い点・悪い点は何ですか?

良い点は、現場の問題点に気づくことです。現在、僕が働いているクリエイティブチームはインターン生だけで構成されています。上司から依頼があるときは個人ごとに依頼されるのですが、僕たちのチームにはガイドラインのようなデザインの型がありません。そのため、わずかにですが各メンバーの色というものが出てしまいます。僕たちで型を作ろうにも、スキル面や経験面的に、まだまだ難しい状態にあります。このようなことは実際にインターンとして働いてみないとわからなかった点だと思います。
悪い点は、インターンの業務で手一杯になっていることです。今までは、バイトをしてお金を稼ぎ、自分の作りたいものを作るという流れでしたが、現在はインターンでお金を稼ぎながら学べる、しかし自分が作りたいものにあまり時間を割けていないという状態です。
──長期インターンを通して、自身の中で大きく変わったことは何ですか?

3社の長期インターンで気づいた”やりがい”と”収入”の両立の難しさ
立教大学 4年 女性 Hさん
コミュニティ福祉学部 福祉学科
大学4年の5月に内定承諾
期間:大学4年7月~未定
シフト:週3日以上 1日8時間 月初めに自分で申請
賃金:日給9,000円(8,000円+交通費1,000円)
業務内容:自社サービスの付随機能の営業
長期インターンという名の『やりがいの搾取』
──3社の長期インターンを経験したとのことですが、まず1社目に応募しようと思った理由は何ですか?

──実際に経験してみてどうでしたか?

1つの目標に対してチームで動くことの難しさを学びました。認識の擦り合せやプロセスの選定など、とにかくコミュニケーションをとらないとうまくいかないと身をもって経験しましたね。チーム対抗だったこともあり、どうすれば良くなるかみんなでひたすら議論したため、かなりやりがいは感じていました。
ただ9ヶ月間無給だったことは正直納得いかないですね。学生に『やりがい』を提供してくれることは嬉しいですが、バイトなどに割く時間が減っていることも確かなので、やりがい搾取の企業はやり方を見直してほしいですね。
──では2社目はどういう経緯で応募したんですか?

2社目は内々定を出してもらう代わりに、その企業のリクルーターをするというものでした。私は元々人前で話すことが苦手だったため、克服したくて応募しました。期間は3年生の12月から4ヶ月ほどでした。ただ4ヶ月と言っても月に数回、イベントの打ち合わせと練習のために集まり、イベントに臨むという形だったので、克服までには至らなかったですね。
1社目は無給でしたが、かなりやりがいを感じていたことに対し、2社目は有給でしたが、あまりやりがいを感じることはできませんでした。そう思っていた時期に、ちょうど他社から内定を頂いたので、それを機にインターンを辞めました。
たった1人で挑んだ”社長直下”のミッション
──現在の3社目の長期インターンについて教えてください。

4年生の5月に就活を終え、成長とお金稼ぎを両立できることしたいと思い、長期インターンの求人サイトに登録しました。そこでスカウトされた企業と話してみたところ、私が就活の際に軸にしていた『企業理念・人・成長環境』にマッチしていたため、その企業に決めました。業務はまだ決まっていなかったんですが、実際行ってみると、なんと社長直下の業務を任されました。
業務内容は、自社のサービスを使ってくれている企業に、付随機能を導入してもらうものでしたが、私と同じ業務をしている人がいなかったため、正直かなり不安でした。
──不安が募るなか、インターンが始まりましたが、実際働いてみてどうでしたか?

──3社の長期インターンを経験してみて、Hさんは長期インターンをどのようなものだと考えていますか?

まとめ
インターンと聞くと、就職活動の一環で経験していると思う方も多いかもしれません。しかし今回のインタビューによると、お金を稼ぐだけのアルバイトややりがいや成長のためのサークルなどといった選択肢の中に、お金を稼ぎながら成長できる”長期インターン”という新たな選択肢の1つとして捉えている学生も多いことがわかりました。
学生は長期インターンを通して、普段の大学生活では知ることのできない『企業で働く』ことを知ります。そのためインターンだからと言って学生のためにカリキュラムを準備するのではなく、他の社員同様にミッションを与え、一社員として意見できる環境を提供することが、学生に対して本当の価値を提供できるのかもしれません。