今回お話を伺ったのは、不動産管理や資産コンサルティング事業を展開するベンチャー、ウェルス・コンサルティング株式会社の代表取締役社長、藤城健作様です。
2009年に創業、社員数は5名と少数精鋭ながら、これまで多くのインターン生を採用し、セールスチームを結成。インターン生はプレイヤーとして成果を出すにとどまらず、マネジメントや営業戦略・人事戦略の立案、新規事業の立ち上げなど、正社員に劣らない高いパフォーマンスを発揮しています。
2年以上務めるインターン生も多数おり、成長できる環境として学生から大きな支持を得るウェルス・コンサルティング様。インターン採用のきっかけから、戦力化のマネジメント手法までお伺いしました。
目次
1. 「インターン採用」は優秀な人材にリーチできる手法
ーインターン生を採用しようと思ったきっかけを教えてください。
藤城社長:はじめはアルバイトで来ていた大学生が、インターンの話をしていたのがきっかけでした。
インターンシップって大企業がやるものだと思ってたんですが、「インターンでベンチャーに行ってみる」と言うので、ベンチャーに興味を持つ大学生がいるんだなと驚きました。当時(2013年)、今ほどインターンシップが一般的じゃなかったので。
それからインターンシップのサイトをいくつか調べて、「キャリアバイト」で募集してみました。仕事内容は、もともとアルバイトが担っていた不動産投資のテレマーケティングです。

ー採用してみてどうでしたか?
藤城社長:「こんなに優秀な人材をベンチャーが採用できるのか!」ということに尽きます。大学生の中でも、学歴も仕事へのモチベーションも高く、アルバイトとは成長スピードが全く違いますね。同じ時間の中で、できるだけ多く吸収して成長しようという意欲が凄まじい。
早速セールスチームを作って、インターン生がインターン生をマネジメントして運営していくスキームを考えました。例えば、初期メンバーに既卒生がいたのですが、彼は大手証券会社に就職したものの1年で会社を辞めて、MBAを取得するためにアメリカの大学院進学を決めていました。その準備期間に、少しでもビジネスを学ぶために当社にインターンとしてきていたんですね。
抜群に優秀で、すぐにインターンチームを束ねてくれました。インターンという採用枠の可能性を感じましたね。
創業わずか4年のベンチャーに、こんなに優秀な人材が来るのかと。
2. “権限委譲”と“コミット”、戦力化のマネジメントはこの2つだけ
ーインターン生のマネジメントに難しさを感じている企業も多いですが、セールスチームの運用は初めからうまくいったのですか?
藤城社長:初めからうまくいっていました。当社は他のインターンシップより圧倒的な権限委譲とコミットをさせていると思っています。この2点ですね。もちろん、個々が優秀であることも一因ですが、それだけではうまくいきません。
権限委譲というのは要するに、インターン生に社員と変わらない裁量権を与えて、同じ土俵で仕事をするということです。
インターンに来ていた学生にヒアリングをすると、新規事業やプロジェクトを任せるというインターンシップも、実際に行ってみるとかなり模擬的なものや作業的な部分しか関われないものも多いと聞いていたんですよ。それで、“本当に”仕事を任せる環境であることをインターンの特徴としました。
今では、インターン生を学生扱いしていないですし、学生にも「自分は学生だから」と思ってほしくない。その面白さと厳しさに応えてくれる人材だからこそ、成り立っています。
そして、やると決めたことは徹底してやらせます。受けた仕事にコミットするというのは当社のカルチャーで、社員全員が体現しようと決めたことなんです。「絶対やり切れるか」を面接時にコミットさせて、自分の言葉・決意から逃げ場をなくすことではじめてインターンシップが成長環境になるんです。

3. アウトプットには社員からフィードバックを行う
ーどんなことを任せているのですか?
藤城社長:例えば、インターンチームのマネジメントはすべてインターン生がやります。新規プロジェクトもゼロから立ち上げていますし、インターンの採用は媒体選定から携わり、原稿作成、面接、合否決定は一任しています。
プレイヤーとして成果を上げたインターン生に、チームを任せてマネジメントに挑戦させた時、迷いながら自分で本を読んで学んだり、マネージャーの社員を観察したりして勉強していました。こうしたほうがいい、など一方的な指示はしません。
ただ、マネージャーは背中で見せるのでなく、「どうやったらメンバーの成果が上がるのか」を考えるようにだけ指示しました。マネージャーとしてのミッションから彼が逃げずにメンバーと向き合い、徐々に人にコミットさせられるようになって、チームの成果もあがりましたね。
ーインターン生に裁量や責任のある仕事を任せるのは、会社側としては指導の手間もあるかと思いますが、大変ではないのでしょうか?
藤城社長:最初の3ヶ月は大変ですが、仕事をやりきるコミットメントを前提に採用しているので、あとは自分で考えて、調べて、実行して、というのが身につけば自走できます。責任ある仕事だからこそ、ちゃんと考えるようになるんです。

ー1〜2年ほど継続しているインターン生もいるとのことですが、どんな取り組みをしているのですか?
藤城社長:ここで「まだまだ学ぶことがある」と気付かせることですね。ジョブローテーションは意識してやっています。学生はひとつのことができたとき、ほかの企業で別のことをやってみたいと思いがちですが、「それってうちで、もっと面白くできるよ」と、次のミッションとともに伝えます。それが、チーム作りだったり新規事業だったりするわけです。自分でKPIをひいて、メンバーの評価基準を考えて…。
もちろん、当社のリソースでできないことを希望する場合には、快く送り出しますが、まだ教えたいことがたくさんあると思えるような鍛え甲斐のある学生には、「もっと一緒にやろうよ」と率直に伝えますね。
4. 新卒採用に自信を持てるようになった、インターン採用開始から4年目の取り組み
ー非常に優秀な学生が御社に入り、さらに成長して活躍されていると思いますが、新卒採用につなげたいという気持ちはないのですか?
藤城社長:もちろんあります。ただ、今までは自信がなかったんですよね。「こんなに優秀な人材が本当にベンチャーに来てくれるのかな」と。卒業生は、コンサルティング会社や外資、メガベンチャーなど、自分が希望した企業には次々に内定をもらっていますし、起業する学生もいます。
ただ、その中の一人が就活後に「社長に来いって言われたら入社してたかもしれない」って言ってたんです。その時に、「うちも戦えるんだ」って気づいて、これからは積極的に声をかけていこうと思っています。
また、すぐに新卒採用につながらなくとも、巣立っていった多くのインターン生とは今も交流があるので、また縁があれば一緒に仕事をしたいですね。
ー最後に、これからの御社のインターン採用の展望をお聞かせください。
藤城社長:これからも一戦力として育てていくことに変わりはありません。ただ、インターンシップ自体が一般的になっていく中で、「本当に成長したい」と腹をくくっている学生を見つけることはより難しくなっていくと思っています。
だからこそ、インターンシップの中身で、どの企業にも負けない成長環境を作っていきたいと思っていますし、これからのインターン生にも「ウェルスで成長できた」と原体験として残るインターンにしていきたいですね。
ーありがとうございました!