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コラム

新卒採用で内定承諾をとる人事のコミュニケーション術

複数内定をもっている学生から企業が選ばれる立場に

有効求人倍率があがり続け、学生が3~4社の企業の内定をとることも珍しくなくなりました。就職活動について悩んでいるという学生と話すと「1社しか内定を持っていません」と落ち込んでいることもあります。最終的には1社以外はすべて辞退することになるのに。それでも内定をゲットし続ける学生。

企業側からすれば内定承諾をとるというハードルが年々高くなってきているということです。学生時代からインターン生として働く学生も増えていますが、インターン生から正社員として入社する意思を固めてもらうためにも、どこかのタイミングで決断が必要です。

学生の話を聞いていると、内定後の対応によって高まりつつあったモチベーションが下がっていく状況を数多く見てきました。学生側の意見を元に私自身がとある企業の内定辞退率を下げるために以下のようなポイントに注力したところ、知名度がない企業でも辞退率を20%以下にすることに成功しました。

  • 応募者の動機が高まった状態で内定を出す
  • 内定は直接伝える
  • 内定者をフォローする担当を決める
  • 決断できない場合は、次のステップを約束する
  • 入社するまで継続的にコミュニケーションをとる

以下では、内定辞退を減らすための具体的な取り組みを詳しくお伝えします。

内定出しからご機嫌をとりはじめても間に合わない

内定承諾は、内定を出したときの学生との関係性や気持ちのあたたまり具合が影響します。あたたまった状況を急につくろうとするのは、相当エネルギーや技術がいります。内定を出してからが勝負なのではなく、しっかりと関係ができた状態で内定を出します。

たとえば以下のような取り組みは、シンプルですが有効です。

  • 面接官が、応募者の動機付けも役割だという認識を持つ
  • 選考ステップに会社や仕事に共感できる情報提供の機会をいれる
  • 合格連絡は1日以内に行い、選考プロセスの間をあけない
  • 応募者に評価ポイントを具体的にフィードバックする

全員に同じように対応できなくても、「この人は!」と思った人に特別に対応するとか、役員面接に進む学生から優先度をあげて個別対応するといったことからでも始めてみると結果が変わってきます。

内定出しは手間をかける

内定はどのようにして伝えていますか?郵送、メール、電話、直接会って伝える、などいろいろな手段がありますが、やっぱり嬉しく印象に残るのは、直接会って伝えられたものではないでしょうか。内定だしの時には、このような話をすることをおすすめします。

  • どんな点を評価しているのか、また成長してほしい部分もフィードバックする
  • 会社から期待していること、未来どうなれるのかというイメージを伝える
  • 本人の意向や不安をよく聞く
  • 今後のアクションを決める

面接が終わった人を電話で呼び戻してその場で内定を出したり、素敵な場所で食事をしたり、選考に関わった社員の寄せ書きを渡したり、映像をつくったりと、手の込んだ内定出しをしている企業もあります。会社の未来に影響する意思決定であり、ひとりひとりの人生にも影響する可能性があるプロセスです。丁寧に気持ちを入れて対応します。

インターン生に対して内定出しをする場合は、良くも悪くも企業や仕事に慣れているので、もっと自分にはまだ見ぬよりよい環境があるのではないか?と感じてしまう人もいます。インターン生が就職を考える時期に差し掛かってきたら、社員としてこんな役割を任せていきたいとか、本人のめざす将来像と会社の未来について今一度視点をあげてすりあわせをしていく機会をとりましょう。

内定者それぞれの担当をはっきりする

内定者が多い場合、人事が全員の進捗を追うのは難しいです。通常の採用業務と平行している場合、10名くらいまでが意識を割ける限界ではないでしょうか?そこで、人数が増えそうなときは内定者にそれぞれフォローの責任者を決めることをおすすめします。いわゆる、学生を社員が個別に担当するリクルーター制度もこれにあたります。

内定者へのアクションや会話内容は毎回記録して採用管理ツールやスレッドなどでタイムリーに関係者が共有します。採用したい度合いと、応募者の志望度をそれぞれ3段階程度にレベル分けして優先度や関わり方を判断する基準にします。

迷っているときは学生と次のアクションを約束する

すぐに決断できない人に対して「決まったら連絡してください」と放置は禁物です。学生から連絡が来たときには手遅れです。面談や電話をした際には、その場で決断できなくても次のアクションをお互いで決めて終わるようにします。以下にケース別の対応例を挙げます。

決断できない理由1:特定の他社に傾いている場合

「もう少し決断までかかりそうだね。○○社(他社)の選考はどのくらいかかりそうかな?」

「じゃあ、〇日に一度電話で状況を聞いてもいいかな?」

決断できない理由2:親に報告してから

「親御さんとちゃんとコミュニケーションできているんだね。●●(自社)に入社したいって伝えたらどんな反応しそう?」

一緒に親への対策をする。社会的信頼になりそうな情報を補足する。

「親御さんとはいつ話できそう?じゃあその翌日くらいに電話するね。どうだったか聞かせて!」

決断できない理由3:仕事のイメージがまだつかない、不安がある

「△△さんのやりたい仕事のイメージ/将来像に近い/興味のある○○分野の仕事をしている社員と話してみるのはどう?」

「次回会社に来られそうな日をいまいくつか教えてもらえるかな?」

「調整して連絡するね!そのあと、もう一度話そう!」

決断できない理由4:とくにないが決めるのを先送りしたい

「△△さんはこれまで、大学とか重要な進路はどうやって決断してきたの?今回の就職という状況だったらどうすれば決められるかな?」

「完璧な会社を探そうと思っても難しいと思うけど、△△さんが将来目指していることに対して大切なことは何かな?」

「決めた時点で正解・不正解かっていうことは無いよね。自分が決断した環境で、選択を正解にしていく姿勢で取り組むかが結果を変えると思うよ。」などしっかり後押しする。

「(決められない場合)そうだね、大事な決断だから迷うのはわかるよ!じゃあ週末よく考えて、〇日に一度その時点での気持ちを聞かせてもらうことってできそう?何時なら電話できるかな?」

このように、次のアクションや日にちを決めてコミュニケーションをとっていきます。

内定を承諾しても安心しない

いざ、内定承諾書にサインをしてもらっても安心をするのはまだ早いです。毎年何人もの学生から聞かれる質問が「内定承諾書を出しても断れますか?」というものです。担当者が継続的にコミュニケーションをとって、内定者を入社まで見守っていく姿勢が大切です。内定者アルバイトやインターンをする企業もありますし、企業のイベントに呼んだり、次年度の採用企画に協力してもらったりするなど関わり方もいろいろとあります。

決断するのはエネルギーがいります。未知なものを選択する場面では、学生の弱さやズルさがドロドロ出てくることもあります。それも全部受け止めて(時にはしっかり気づかせて)、希望や本当はこうなりたいという気持ちに向き合って励まします。そうすれば、最終的には学生がどんな結論になったとしても、企業に対しては良い印象で終われるはずです。

本人が入社しなくても、良い印象をもってもらえれば友人や後輩に紹介してもらうこともあります。いつかまた一緒に仕事をすることもあるかもしれないし、顧客になることもあるでしょう。もちろん内定を承諾したら、そこから長い付き合いになります。内定を決めるプロセスで更に意欲が高まり深い信頼関係を築けるような関わりをしていきたいですね。


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