今回はWEBマーケティング企業の株式会社EXIDEAの代表取締役小川卓真様にインターン生の活用と新卒採用についてお話を伺いました。
株式会社EXIDEA様は「卓越した価値を世界に届ける」というミッションを掲げ、2013年に創業されました。メンバーはインターンやフルコミットのシステムエンジニア、デザイナーなどのパートナーを含めて約20名の少数精鋭の企業です。毎年、全員で海外のWEBマーケカンファレンスにも出席するなど、一人一人がグロースハッカーとして世界で活躍することを目指しています。
日本ではまだ馴染みの薄いグロースハックという仕事、2013年創業というベンチャー企業にインターン生たちが入社を決めていく過程にはどんな取り組みがあるのでしょうか。
目次
インターンはベンチャーが優秀な人材を獲得する手段
ーはじめは、どんなきっかけでインターン生を採用しようと思ったのですか?
小川社長:以前経営していた会社で紹介された学生を採用したら、その学生がすごく優秀で、それから一緒に働くのに学生か社会人かは関係ないと考えるようになりました。
新卒採用では、優秀な学生は大企業に行きがちなのでベンチャーではなかなか採用できないんですよね。でも、インターンで一緒に仕事をしていると、優秀な学生ほどベンチャーの自由度や裁量の大きさ、スピード感に魅力を感じてくれて、「新卒採用にも繋がる可能性が高い」と、思うようになりました。
新卒採用率50%。入社を見据えた選考フローの確立
ーこれまでの採用実績について教えてください。
小川社長:キャリアバイトを中心に募集して、この1年で11名採用しました。既卒生も含めると、これまで新卒で3名が当社に入社しています。また、2016年4月に2名の入社が決まっており、2017年卒のメンバーのうち2名も入社を希望してくれています。あとは、他企業へ就職したのちに戻ってきたいと言ってくれているメンバーは…全員ですかね。先のことは分かりませんが。
新卒採用は他の手法でも行っていますが、インターン経由が一番うまくいっています。
ー類を見ない新卒採用率の高さ、どのような選考を行っているのですか?
小川社長:必ずしも新卒採用のためにインターンを採用しているわけではないのですが、確かに採用率は高いと思います。これは採用を進めていく中で、当社の仕事の中心となるWEBマーケティングの適性と、会社の文化に合うかどうかという2つの採用基準を軸に置くようにしているからだと思います。
そこで、募集時点で当社のクレドの中から、「誰かのために頑張るのが好き」「自分は運が良いと思う」など学生にもわかりすい表記でいくつか提示して、それに当てはまるという方のみ応募を受け付けることにしました。その後、当社の副社長と面談をしてもらうのですが、ここではスキルは置いておき、人間性のみを見るようにしています。
【応募条件にクレドを提示して募集】
- 一次面接:会社のクレドに合う人材か見極める
- 筆記試験:マーケティングの適性を見る(1,500字程度のライティング課題)
- 最終面接:メンバー全員で顔合わせ
面接を経て、マーケティングの仕事への適性を見るために1,500字程度のライティング課題、最終選考ではインターンを含めメンバー全員がカフェ等で顔を合わせ、話をして判断しています。海外のカンファレンスにも全員でいきますし、何より毎日一緒に仕事をする仲間なので、50人、100人になっても「会社の文化に合う人間かどうか」を大切にしていきたいと思っています。ちなみに、初めから選考フローが明確だったというよりは、何人ものインターン生を採用して成長を見ていく中で、重要な要素を見出すことができてきましたね。
1年足らずでゼロから月間100万円の収益を生み出すインターン生たち
ーインターン生にはどんな仕事内容を任せているのでしょうか。
小川社長:当社は、クライアントや提携先に対してWEBマーケティングの提供をしている会社ですが、そのレベルの仕事をいきなりできる学生はまずいませんので、インターン生にはWEBマーケティングの基礎を徹底的に身につけてもらうためにも、ゼロからWEBサイトを立ち上げて運用させています。
例えば、法人用のクレジットカードの口コミサイトを運営しているインターン生がいるのですが、1人のインターン生が運用し、10ヶ月目で月間100社以上の申し込みをいただくという成果を出しています。業界内のメディアの中でも上位につけており、年間数千万円の収益を生み出すペースです(インターン生の実績はこちら)。
インターン生自身のスキルアップを高いレベルで図るためにも、1年間のインターンを経た時点で月間100万円を超える収益を上げられるようになることを目標としています。HTMLやCSSを使ってのサイト構築やコンテンツライティングを行う他、WEBデザインや、PHPやJavaScriptなどでシステムを組むなど幅広い仕事を任せています。収益を上げるために重要な肝は教えるのですが、基本的には自分で考えさせているので必要なスキルは各々が勉強して習得しています。
ーこのような高い成果を上げるために、指導・育成にはかなり力をいれているのでしょうか?
小川社長:そうですね。ただ、本気でWEBマーケティングの世界で生きていきたいという人であれば、その日学んだことや実践したことを家に帰って復習し、さらに調べてまた実行してみるんですよね。そのサイクルができる人はこちらの負担も少なく、今挙げたような高い成果を残しています。
私たち社員側が徹底して行っていることは、そのサイクルを確立するための仕事のチェックとフィードバックです。毎日、仕事終わりの5分ほどで当日の結果と翌日の業務スケジュールを報告させています。何にどのくらい時間がかかってどんな結果だったのかを聞けば、どんな仕事をしているか分かりますので、改善のアドバイスをしていくことができます。これを続けていくと、徐々に仕事の仕方も良くなって、指摘していくことがなくなっていくので、完全に仕事を任せていけるようになります。
あとは、動画を使って海外の最新事例などを説明したり、勉強会を開いています。学びの機会にはきちんと時間を割くようにしていますね。
創業3年目、拡大に向けて会社の文化や採用基準を創ることができた
ー実務での成果以外に、インターン生を採用して良かったことはありますか?
小川社長:採用基準を明確にできたことですね。会社の文化、選考フローが確立していなかった時は、こちらが求めていることと、インターン生が望んでいることのミスマッチが起こり、困ったこともありました。
例えば、本人は一生懸命やっているのだけど成果が出ない。成果が出るようにするにはどうしたらいいかを考えさせたり、こちらからフィードバックをするものの、それでもできるようにならない。その繰り返しの中でこちらも本人がこの仕事にコミットできていない、この仕事に強い情熱を持っているわけではない、ということに気付かされて、採用時の基準を大幅に変えることもありました。
また、どの会社でも文化というものがあると思うのですが、当社はインターン生の採用開始時点ではこれを明文化できていませんでした。現在は、経営理念にもしているのですが、「お互いに信頼でき、尊敬できる家族であれ」、これが文化そのものです。人から信頼される行いができること、人から尊敬される人格であること、人のことを信頼できる純粋な心を持っていること、人のことを尊敬できる謙虚さを持っていること。そういう人間が集まった会社にしたかったということを、何ものにも染まっていないインターン生の採用を進めたからこそ気付かされました。
インターンを採用してきて、私たちが一緒に働きたいメンバーの採用ラインが見えたのと、組織を作っていく上で重要な会社の文化を明確にする機会になったと思います。ベンチャーにとって、会社の文化が曖昧な状態で正社員を採用していくのはミスマッチのリスクが高いです。その前にインターン生を育てながら自分たちも勉強させてもらうことができるという点でも、インターン採用はベンチャー企業にはおすすめできると思います。
次の挑戦、平日週2日から参加できるインターンのプログラム作り
ーこれからのインターン採用についてお聞かせください。
小川社長:今まで通り、初めの1年は研修として徹底的にWEBマーケティングの基礎を身につけ、2年目はさらに大きなプロジェクトを担ってもらったり、別の仕事にチャレンジしてもらったりしようと考えています。基本的に当社としては採用率も高いのでインターンも新卒も変わらないと思っています。
ただ、より間口を広げて優秀な人材に出会いたいと考えているので、実験的に学生の長期休みを活用したプログラムを用意しています。
これまでは平日週4日以上の勤務が必須でしたので、履修がほぼ終わっている人や休学している人でないと応募が難しかったのですが、春休みに20日間程度毎日来て、その後は平日週2日と土日に勤務とするような働き方です。
入りたての頃は、仕事を覚えるためにどうしても時間が必要ですので、長期休みを活用することで、大学と両立できるインターンとして多くの人に応募してもらいたいと思っています。
ー最後に、これからインターン採用を考えている方に一言お願いします。
小川社長:インターン生を戦力として考えている会社には特におすすめしたいです。インターンは意識も能力も非常に高い人材が多いので、きちんと育てていくことができるのであれば新卒採用をするよりも戦力になることがありますし、その後の採用にも繋がる可能性が出てきます。
ーありがとうございました!
インターン採用や、インターンの戦力化の方法については、こちらの資料で詳しくご説明しております。ぜひご覧ください。